(12号掲載)
やうやうが再起動して、すぐに鹿屋市長の問題発言があり、県知事選があり、今回は県警の問題です・・・。はっきり言ってもういやです。ぼくはなにも政治の話ばかりをしたくてこのやうやうをやってるわけじゃないです。やりたい人が好きにやってください。これが正直な気持ちなんですが(ほんとだよ。)ただ、今回もどうしても書いておかないといけないことがあるので今回もやっぱり政治的な話題です。
化学物質「PFAS」(ピーファス)という言葉を最近よく耳にします。PFASとは有機フッ素化合物のことで、水や油をはじく性質があるので、フライパンやレインコート、化粧品、消火剤や人工芝などに使われています。(細かく言うと、PFOA、PFOSなどいろいろあってそれらの総称と思ってください。)このPFASですが、発がん性物質であると2023年にWHOが認定しています。PFOAについて、4段階ある分類のうち最も危険度が高い「発がん性がある」に引き上げられ、PFOSについてもその下の「発がん性がある可能性がある」になりました

アメリカでは2000年代に化学工場に対する集団訴訟や、PFAS汚染の深刻さを扱った映画「ダーク・ウォーターズ」のヒットなどをきっかけにPFASに対する懸念が高まりました。
特に問題とされているのが、米軍基地での泡消火剤に使われているPFASです。基地周辺の土壌が汚染され、地下水へ浸透して水道に汚染がひろがっていることがアメリカ各地で判明します。そのような状況にあり、今年になってアメリカ政府がPFASの利用を中止する宣言をし、PFOA、PFOSに対して極めて厳しい基準を設定しました。PFASの使用を規制する動きはアメリカだけではなく、欧州食品安全機関(EFSA)でもPFASの2物質の合計の摂取許容量が体重1キロ当たり0.63ナノグラムと設定しています。もちろんPFASの問題は日本でも同じです。日本の汚染源は主に米軍基地、自衛隊、産業廃棄物といわれています。日本での規制はどのような状況にあるかといえば、内閣府の食品安全委員会の専門家会議でPFASの体重1キロ当たりの摂取許容量を20ナノグラムとする指標を了承したようです。これは欧州食品安全機関(EFSA)が採用する摂取許容量を60倍以上上回っていて、一日の許容摂取量の基準を見ても、PFOSはアメリカの200倍、PFOAはアメリカの666倍と極めて緩いものです。
食品と同じく深刻な問題なのは、日本にある米軍基地です。日本の米軍基地では消防訓練などの際にPFASを含む泡消火剤が大量に使われている疑いが持たれていましたが、アメリカ国内の規制が日本の米軍基地でも同じように課されているかは明確になっていません。日米地位協定の壁に阻まれ、その実態は日本政府には明らかにされていないからです。
日本各地で、米軍基地だけではなく自衛隊や工場が汚染源で全国的にPFAS汚染はひろがっています。(PFAS問題について詳しいことを知りたい方は、この問題を長年取材しているジャーナリストの諸永裕司氏の本を読んでみてください。)

最近は人工芝に使われているPFASが問題になっています。アメリカではメジャーリーグの選手が人工芝の影響によるがんで死亡したのではないかと報道されていますし、ワシントン大学は、人工芝で主にプレイしているスポーツ選手にがんなどになる選手が多いことを発見しました。リストを作ると、がんになった選手は6年で187人にのぼり、そのうち150人がサッカー選手でした。さらに驚くべきことに、150人のうち95人はゴールキーパーだったことがわかっています。ゴールキーパーはほかのポジションに比べて、練習時から芝に滑り込む回数が多く、すり傷も絶えないのでPFASが体内に入りやすいのではないかと疑われています。
アメリカでは州によっては人工芝を禁止するところも増えている状況ですが、日本は小学校のグランドや公園などもふくめて人工芝がふえつつある状況にあります。
ここ鹿屋市でも、野里に整備費17億7700万円をかけて、人工芝のサッカー場1面とテニス場8面が人工芝で整備される工事が進められています。(鹿屋は芝の産地としても有名なはずですが・・)人工芝によるPFAS汚染は今の段階ではあくまでも懸念です。それでも欧米では予防原則という考え方から、人への影響が大きいときはとりあえずやめておこうと規制に動いています。日本も最近はPFAS汚染が問題になりつつありますが、先に述べたように規制はまだまだ緩いのが現実です。水俣病を見るまでもなく、日本は業界団体や利害関係者の顔色をうかがうことで規制への動きは鈍く、被害があってからはじめて動くことを繰り返しています。(これは昨今、問題になっている企業団体からの寄附やパー券に関係している日本社会の大きな問題でしょう。)
今回、鹿屋市が進めているグランド整備はこのまま進めていいのでしょうか。屋根付きスタジアムでもないのに、人工芝にする強い理由はどこにあるのでしょうか。とりあえず人工芝にするのは立ち止まって考えてもいいように思いますが、皆さんはどう思いますか?
文・土屋耕二
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