(18号掲載)

 今号からスタートする「新連載」もっと気の利いたお洒落な読者を惹きつけるようなタイトルを考えた方がいいかなと思いながら、実は私が一番伝えたいことが「落し蓋」だったりするので(笑)やっぱり記念すべき第一回のタイトルは「落し蓋」で行くことにしました~。(笑)

 やうやう読者の皆さん、ホテル太平温泉にお泊まりになったことありますか?温泉にお入りになったことありますか?地元に住んでいると、ホテルに泊まることなんてまずないし、近いからいつでも行けるからと、温泉もまだ、お入りになったことがないという方も意外と多いのではないかと思います。

 ホテル太平温泉は、昭和36年創業、64年の歴史がある温泉旅館です。地元の皆様に愛され、育てていただいてきました。温泉の泉質は炭酸水素塩泉。効能は神経痛・切り傷・やけどなど。お湯は柔らかくツルツルとした感触で泉温35.8度を42度に沸かしています。サウナは遠赤外線サウナとスチームサウナの二種類。リハビリやダイエットに効果的なプールのような運動浴場も人気です。お肌がツルツルになる、温まった身体はずうっとぽっかぽか…と評判です。10日連続して入浴されると「皆勤賞」をもらえて11日目が無料になります。また、回数券の表紙を3枚集めると1回分無料になるという常連さんが誕生しやすい温泉となっております。(笑)

 ホテルのお客さまだけではなく、外からのお客さまにも召し上がって頂ける朝食は、釜で炊いたご飯とお味噌汁はおかわり自由で、焼き魚に卵料理、小鉢、海苔がついて、なんとワンコイン500円です。これぞ日本のザ・朝ごはん!大人気です。朝ごはんを食べたいがために「また、泊まりに来ました~」というお客さまもいらっしゃるほど。外からのお客さまで1年間のうちの350日ぐらい通ってくださる常連さんもいらっしゃるので、物価高騰の今、朝食も値上げしたいところですが、なんとかワンコインでがんばっております。
 ホテルは木造から鉄筋に建て替え早45年。2020年に国体のために大々的にリニューアルし、フロント、ロビーは広く新しくなりましたが、客室は古いながらもお掃除が行き届いており、特に本館二階の和室などは、昭和の雰囲気そのままにタイムスリップしたようなレトロ感覚を楽しんで頂けると思います。旅先、宿泊先でも、やっぱり畳が落ち着く~という方もきっと多いはず。(笑)
 そして、働いていると本当に今どきびっくりするような年季の入った道具に出逢うことがあります。厨房や倉庫などは、さながら宝の宝庫。ホテル太平温泉の夕食は家庭料理です。豪華な懐石料理ではありません。残さず全部食べていただける量の美味しい家庭料理で勝負しているのは、フードロスがないように、食べ残しがないようにと願うSDG’Sの観点からなのですが、道具を大事に使っている、なかなかお暇をあげずに、ずうっと一緒にお仕事してもらっている道具たちがたくさんいるというのも、私たちホテル太平温泉の思いなのです。その中でも、私がホテル太平温泉のスタッフになり、感動すら覚えたのは…厨房の「落し蓋」。木製で、直径28センチの落し蓋は長年のいろいろな味が染みて、まさに味のある色合いになっています。木目の模様はくっきりと割れ目からきれつが入っているところもあり、すでに円ではなく、欠けたり割れたりしていびつな形をしています。いつからここで使われているのだろう。どれだけの煮物や煮魚の落し蓋として、美味しい味に仕上げるために活躍をしてきたのだろう。そして、あと何年活躍し続けてくれるのだろう。そんな、ホテル太平温泉とともに歳を重ねてきた愛しい道具たちも一緒に、皆様をお迎えしているのです。
 ホテル太平温泉のコンセプトは「鹿屋のおうち」。宿泊のお客さまが「ただいま~」と帰って来たくなるようなそんなホテルをめざしています。
 ホテル太平温泉で働きながら感じたこと、お伝えしたいこと、または日々の生活の中での気づきや思いを綴り、ホッとしたり、クスッと笑ったりしていただけるページになれば幸いです。

文・上井 七穂

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