(5号掲載)
先日、俳優の田中邦衛さんが亡くなりました。彼の人生をかけた作品が「北の国から」です。50年放送開始から黒板家族の人生を綴った名作です。五郎さんの名セリフなどが未だに話題にのぼったりしますが、今になって連続ドラマを見直してみると、表現の自由さに驚いてしまいます。
時代と言ったらそれまでですが、男性は飲酒運転にケンカ、女性はトルコにながれます。夏のいかだ下りでは、五郎さんが自作のいかだに「返せ北方領土」と書いて参加します。極めつけは作中にUFOが登場します。(これについては、詳しくは特集をご覧ください。)
そこでは、今でいう政治的な正しさ、エビデンス(証拠、証言) への配慮などありません。そのような時代です。
現在はどうでしょう。映画「万引き家族」が話題になったときに、 是枝監督の発言が「文科省から補助金を受けておきながら、そ れはないだろう」と批判を受けました。作家だけではありません。 多くの著名人がSNSでの発言で仕事をおろされたりしています。SNSを使わない人にはいまいち理解できないかもしれませんが、「いいね」や 「RT」の内容にまで批判される状況です。
ある種の人たちは、正義の一貫性をどんなところにも徹底的に追及しているようです。本当にそんなことが人間はできるのでしょ うか?今の情報社会はアウトプットファーストと言われているようです。しかも、政治的に正しさが求められるアウトプットです。 そんなことが本当に人間にできるのか?それでいいのか?
正しさも含めて、疑ってみたり、立ち止まって考えてみることが必要な時代なのかもしれません。
じっくり時間をかけて考えてみる。「やうやう」はそのようにありたいと、今号の発行も予定をかなり遅れた言い訳とともに、宣 言してこのコラムも終わりたいと思います。 今号も、充実した内容になっていると思います。お楽しみください。
文・土屋耕二
コメントを残す