編集部おすすめのマンガをご紹介!
(19号掲載)

『ドラゴン桜』
落ちこぼれ高校・龍山高校を舞台に、東大合格を目指す奇跡の逆転劇を描いた受験マンガ。型破りな弁護士・桜木建二が、「バカは搾取される」と断言し、生徒たちに勉強の意味と戦い方を叩き込む。「ぼそぼそシャドーイング」、「歯磨きをするように勉強をしろ」、数学は「公式を使うな」など、目からウロコの勉強法も満載。この作品ではその人それぞれの性格にあった勉強法を指南しているのも特徴的。受験生だけではなく、変化の多い現代社会において全ての社会人にも響く人生指南書。
…私の息子も期末テストの前日に読んでいました。遅いだろう!!

『ハイキュー!!』
2012年2月から2020年7月まで『週刊少年ジャンプ』で連載された、宮城県を舞台にしたバレーボール漫画。主人公・日向翔陽が仲間たちと切磋琢磨し、烏野高校バレー部が成長していく姿を描く。シリーズ累計発行部数は7000万部を突破したのか?とも言われ、テレビアニメや劇場版も大ヒットを記録。魅力の一つはスピード感あふれる試合展開と、手に汗握る緊張感 。しかしそれだけではない。登場人物たちは皆、合理一辺倒ではない人間味と温かさがある。特に顧問の武田一鉄先生は、バレー未経験ながらも選手想いで、土下座を厭わず部を支えるその姿勢はファンから「聖人」「別格」と絶賛。武田先生の名言「負けは弱さの証明ですか?」は、単なる勝敗を超えた人生の教訓として心に響く。間違いなく名作。

『らーめん再遊記』
ムカつく表情で芯を食った名言を放つキャラクター“ラーメンハゲ”こと芹沢達也が主人公の、ラーメン業界をビジネス思考の観点から描く異色漫画。「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!」など、繰り出すセリフたちは数多くのネットミームを生んでいる。下町の人情ストーリーかと思いきや、従業員が新しい挑戦を拒むのは「変化が面倒なだけ」というリアルな本音が描かれていたりして、経営や仕事観にも鋭い示唆を与えてくれる作品。
(18号掲載)

『ミステリと言う勿れ』
天然パーマがトレードマークの大学生・久能整(くのう・ととのう)が、鋭い観察眼と推理力で次々と事件を解決するミステリ。こう書くと整はかっこいい切れ者かというと、どこか抜けている。あと、カレー好き。彼が語るのは事件の解決だけではなく、ある種の倫理や価値観を問い直し、作中人物と我々マンガを読む人を揺さぶり、物語へと引き込む。刑事ものや青春群像劇の要素もあり、多層的な魅力を持つ作品。『BASARA』『7SEEDS』の田村由美の作品なので、普段少女マンガを読んでいなくてもすんなり入れる、名作。ぜひお読みください。

『攻殻機動隊攻殻機動隊』
近未来SFの金字塔として世界中に影響を与えた士郎正宗による名作マンガ。舞台は電脳化や義体化(サイボーグ化)が当たり前となった未来社会。公安9課、通称“攻殻機動隊”に所属する草薙素子少佐を中心に、サイバー犯罪や国家の陰謀に挑むサイバーパンク作品。映像化作品(押井守版・神山健治版など)のほうが評価されているかもしれないが、実はマンガ一巻はマンガ史に残る傑作。(特に一巻ね。)士郎正宗は今はどこかでエロイラストしか描いていないという噂を聞くが、映像作品は次々と新作が発表されているのも特徴的で、原作に底力がある証左だろう。あの時代にこれが描けるなんて、本当に天才なんだろうなと思わずにはいられない。

『天使なんかじゃない』
新設校の生徒会を舞台に、明るく真っ直ぐな主人公・翠と、無口で優しいリーゼント頭の須藤晃との恋愛や仲間との絆が描かれる。恋に悩み、友情に揺れ、理不尽に涙する・・・。そんな、まさに思春期!!の青春ど真ん中な学園ラブストーリー。登場人物たちのリアルな感情が、セリフと表情で丁寧に綴られていて、今読み直しても笑って泣けて、ときめいて、読後にはきっとあなたの青春を思い出すはず。『NANA-ナナ-』の矢沢あいが描く名作です。
(17号掲載)

『ふつうの軽音部』
大阪市在住の女子高校生である鳩野ちひろは、ギターの赤いフェンダー・テレキャスターを思い切って買い、高校入学と同時に軽音部に入部する。タイトル通りのふつうの軽音部で、特別な才能も、特殊能力もない。かと言って、銀杏とか懐かしの邦楽ロックばかりでサブカル臭全開なんてこともない。本当にふつうの高校生たちが、人間関係に一喜一憂しながらバンドを楽しみながら、高校生活を送るマンガだ。そんなマンガをジャンプで連載して、しかも大人気というから、時代は変わったんだよ。いつまでもナンバーガールだけ聴いてるとかじゃないんだよね。当たり前か。とにかく新しい雰囲気のマンガで、このテンションが心地よい、いい作品です。

『スキップとローファー』
石川県出身のみつみは成績優秀で、東京の進学校に主席で入学する。中学時代は一学年8人しか生徒がいなかったので、東京の高校生活にとまどいつつ、新しい友人たちの生活が始まる。みつみは、自然豊かな田舎から出てきたからか、その性格は天然、素朴、まじめで人を信じちゃうタイプ。美人ではないそんなみつみを、なぜかクラスのイケメンの志摩くんは気に入り、なにかと気を遣って絡んでくる。みつみは級友の女子たちから、志摩くんに関する嫉妬心からか嫌なこともされるが、みつみの根っからの前向きさと、女性として生きる叔父と、石川県に住む幼なじみたちからの連絡に支えられながら、東京で生きていく。登場人物たち一人ひとりの個性が上手に表現されている心温まるスクール・コメディ。アニメ化もされているので、ぜひ見てみてください。素晴らしい作品です。

『よふかしのうた』
中学生の夜守コウは、学校がなんとなく嫌になり不登校になる。完全に夜型の生活になったコウは深夜に一人で外に出ると、吸血鬼である七草ナズナと出会う。コウは吸血鬼になりたいと願うが、血を吸われても吸血鬼になるわけではなく、それには『吸血鬼に恋をする』ことが必要だった。いまいち恋愛とかわからない年頃のコウとナズナやほかの吸血鬼、人間たちとの交流を描く。少年サンデーでの連載ということもあるが、男性読者の欲求に応えるような描写はほぼなく、吸血鬼になるためには恋をするという絶妙な設定もたくみ。なんといっても世界観がある絵が素晴らしいです。
(16号掲載)

『君と宇宙を歩くために』
ヤンキーの小林は、勉強もバイトも続かない。そこにちょっと変わった転校生の宇野がやってくる。宇野は、記憶するのは得意だが、多くの人がいたり、予定外のことが起きたりするとパニックになってしまう。小林は、宇野が日常のルールをノートに書いて生活をなんとか送っているのを見て、参考にする。(例えば、朝起きたら布団をたたむ。とか、泣くのは家に帰ってからにする。とか。)そんな「普通」ができない二人の「普通」の日常を描いた友情物語。等身大の彼らがそこにいる、魅力あふれる作品です。

『ひらやすみ』
フリーターの生田ヒロトは、人柄のよさだけで、仲良くなった近所のおばあちゃんの一戸建てを遺産としてもらうことになる。そこで山形から上京してきた、いとこのなつみちゃんとの二人暮らしが始まる。ここだけ読むと、二人の恋愛話か?って思うかもしれないが、そうではなく、彼の周りには、さまざまな状況にある人々が集まってくる。ヒロトとその人たちはみんな悩みを抱えていて、この生きずらい現代社会でなんとか生きていく。おばあちゃんからもらった家が少しずつみんなの居場所になっていく。絵もすばらしいが、キャラの掘り下げがどれも魅力的で、読む人を暖かい気持ちにさせる素晴らしい作品です。

『ドラゴンボール』
作者の鳥山明がストーリー・キャラクターデザインを手掛けた新作アニメも現在公開中の時代を超えて愛され続ける名作。そのアニメ「ドラゴンボールDAIMA」では悟空たちが子供の姿に戻って、活躍するというお話。ドラゴンボールはいまでも世界中で愛される作品ですが、亡くなった鳥山先生は占いばばあやレッドリボン軍との闘いのような子供のころの悟空の冒険をまた描きたかったのかもしれませんね。個人的には、ピッコロが大好きでした。
(15号掲載)

『九条の大罪』
かつてヤクザ専門の弁護士になったら無限に金が稼げるんじゃないかと夢想していた私がおすすめするこちらのマンガ。半グレやヤクザや前科持ちといった顧客からの厄介な案件を主に扱う弁護士が主人公。作者は『闇金ウシジマくん』の真鍋昌平。ウシジマくんもそうだが、どうも気分の滅入る話ばかりで辟易してしまうが、綿密な取材とはったりの効いた画面作りでついつい読んじゃうのよねぇ。メンタル強い人におすすめです。

『東京喰種トーキョーグール』
石田スイによる、人間社会で人を喰らう正体不明の怪人喰種(グール)が蔓延する東京が舞台の物語。主人公の少年は事故による手術の際に、喰種の臓器を移植されたことで、半喰種となってしまう。そこから、グールとして生きるのか、人間として生きるのか。さらには続編では・・・(ネタバレはしません。)大人気のアニメの方で知っている人も多いかもしれません。絵もすごく美麗で読みごたえがすごい。ただ、ひとつだけ難点をあげるとすると、登場人物が多いっ!!!しかし、きっとこういうところも二次創作などファンの気持ちをくすぶる要因にもなっているのでしょう。おすすめです。

『アゲイン!!』
3年間の高校生活を友達もつくらず部活もせずに自堕落に過ごした主人公は卒業式の日に階段から転がり落ちてしまい、3年前の入学式の日にタイムスリップしてしまう。そこでかつて憧れた応援団長の女性部長のために応援団に入り高校生活をアゲインするという物語。作者は「モテキ」の久保ミツロウ、さすがと言うほかない展開のうまさと、読者を飽きさせない構図と演出。一気に読める青春ラブコメ。がんばってるあなたに読んでもらいたい。
(14号掲載)

『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』
萩原一至による超絶技巧のダークファンタジーマンガの金字塔。連載は止まり、いま物語はどういう状況にあるのかほとんどの人は知ることができないのではないか。キャラデザインはもちろん、コスチュームデザイン、魔法エフェクト、ギミックまですべてを考えているので、その作画コストが膨大過ぎて現実的に連載できないし、「連載作品はそのときのわくわく感を楽しむもので、終らなくてもいいと思うんだよね」と作者がネット番組で発言。完結お願いします!!

『喧嘩稼業』
この作品は他の格闘技マンガとはぜんぜん違う。例えば、リングに上がる前から心理戦は始まっており、過去のトラウマを使って精神的に追い込んだり、毒をもったり、ドーピングは当たり前。それはまるで実社会で行われているさまざなことの裏側と同じではないかと思えてくる。とにかく、面白い格闘技マンガ。ひとつ残念なことは、連載が止まっていることである。どんな手を使ってもいいから、続きを描いてくれ!!頼むよ~~。

『正直不動産』
『クロサギ』の夏原武が原案を手掛けるヒットマンガ。『千の言葉のうち真実は三つしかない』という意味で、千三つといわれる不動産業界。そんな業界で、地鎮祭のときに祠を破壊してしまったことで、主人公の永瀬は嘘がつけない体質になってしまう。愛読している息子(今号の記事を参照してください。)に言わせると、サブリースの闇を知ることができたようです。
(13号掲載)

『お山のいったんもめん』
やうやうで連載中の土屋耕児郎の最新作だ。「お山のいったんもめん」は彼が描いたはじめてのまともな読み切り作品で、このやうやうでも短い話を掲載していたので知っている人もいるかもしれない。「個人的に思い出と思い入れがある作品なので、いつか(少しはマンガが上手くなったら)あらためて描き直してみたい」とずっと言っていた。やうやう編集部としては身内のようなものなので、客観的な評価は難しいが、ぜひ一度読んでみてください。読んだ人の心に残る作品だと思う。

『ダンジョン飯』
日本のSFファンが選ぶ日本で最も長い歴史を誇るSF賞である星雲賞。その年の優秀なSF作品及びSF活動に対し与えられるこの賞で、2024年のコミック部門で受賞したのが、この九井諒子の「ダンジョン飯」だ。RPGのドラクエのような世界観で、ダンジョンで生き残るために、そこにいるモンスターたちを倒し、調理しておいしく食べながらダンジョンをより深く探索するファンタジーだ。ハルタで2014年2月から2023年9月まで連載され、単行本は全14巻で完結している。2024年1月からはTVアニメも放送中だ。名作。

『ザ・ジョジョランズ』
JOJOは終わらない。ハワイを舞台にしたシーズン9「The JOJO Lands」が連載中だ。主人公はジョセフ・ジョースターの娘の子供、ジョディオ・ジョースター。つまりは吉良吉影のいとこにあたるが、それはpart4の吉良じゃくてpart7の吉良でありって、もうわかんないよ!!JOJOもあのとき流行りのパラレルワールドを取り入れてこうなったけど、そんなことはお構いなしにやっぱり面白い。岸辺露伴も出てくるしね。
(11号掲載)

『アンダーニンジャ』
忍者マンガといえばなにを思い出すだろうか。ナルト、あずみ、忍者ハットリくん、人によってそれぞれだろうが、日本の忍者マンガの歴史においては白土三平のカムイ伝や忍者武芸帳を外すことはできない。白土三平は忍者組織、抜け忍、お上、農民、被差別民と社会を描いていた。このアンダーニンジャも、現代の日本社会にはニンジャ組織(NIN)が政治、外交、地方自治などに入り込んでいて、誰もが知っているが触れてはいけないものとして存在している。そしてNINに対立するUN(アンダーニンジャ)という組織もあり、さらには独立した雲隠れ一族も存在する。ちょっと複雑すぎて初見では難しいかもしれないが、理解できると一気に面白くなる。現代のカムイ伝になるかもしれない傑作の予感。

『これ描いて死ね』
書店員やマンガ愛好家らの投票によって選ばれる漫画賞『マンガ大賞2023』で大賞を獲得した作品。都会から離れた離島で生活している女子高生たちがマンガを描いていくという物語だ。可愛らしい絵にどぎついセリフと自由な演出で読む人を楽しく元気にしてくれる。それと同時に、かつてプロ漫画家として活動していた顧問の先生の「ロストワールド」が、主人公たちを「あったかもしれない過去」として見ていて、物語を豊かにしている。夢破れた大人と夢に向かう子供たちに読んでもらいたい作品。

『刃牙らへん』
マンガはキャラがすべてと言ったのはマンガ原作者の小池一夫だが、彼が主催していた劇画村塾は多くの一流マンガ家を輩出した伝説のマンガ教室。刃牙の作者の板垣先生もここの出身者。刃牙はまさにキャラマンガの最高峰のような作品だが、最近は最終対決がエア味噌汁など、いささか常人はついていけない状況にあった。それが原点回帰のようにあの魅力あるキャラたちのぶつかり合いが復活しているのがこの最新シリーズ。先生!まだまだついて行きます!!
(10号掲載)

『ベアゲルタ―』
中国の買春街で娼婦の女は相手の顔をクッキーの型抜きのように、爪に装着した武器でくり抜く。この衝撃の冒頭で始まるマンガが「ベアゲルター」だ。個人的には最もマンガが上手い作家のひとりだと思っている『無限の住人』や『波よ聞いてくれ』の沙村広明の最新作だ。中国マフィア、日本のヤクザ、それに秘密の組織の思惑がうずまく日本の小さな島で、チャイナドレスを着たカンフーの使い手がヘリコプターから飛び降りて登場し、女の子の処刑執行人に、片目のスナイパーなど、多彩な立場の人間たちが組織の思惑、それぞれの過去を背負って、縦横無尽に活躍する。これぞアクション、これぞエンタメ。傑作です。

『銀と金』
「賭博黙示録カイジ」「アカギ」「最強伝説 黒沢」で有名な福本伸行の「銀と金」実は福本作品の最高傑作はこの「銀と金」であるという声も多い。(ぼくもそう思う)ギャンブルに明け暮れている主人公は「銀王」と呼ばれる謎の男と出会う。銀はバブル崩壊後の日本で「この国を買う」と裏社会で金を得るために奔走し、世紀の大勝負に打って出る。あまりの面白さに「カイジ」以前の作品だということにぼくたちは驚かされる。

『サバイバル』
主人公のサトルは、大地震によって地殻変動がおきた世界の無人島でひとり生き残る。さいとう・たかをが描く少年漫画の代表作といっていい傑作。サトルはこの過酷すぎる状況で、虫やカタツムリまで食べ物にしてなんとか生き残る。野菜を育てるのはもちろん、手製の罠や弓などを作って動物たちを狩り、釣りも始める。このように少しずつ人間らしい生活環境を整えていく。人間には衣食住が必要というがそれを確保するのがこれほどまで大変なことかをぼくたちに教えてくれる。(あとネズミは本当に怖い)マンガとして最高に面白いのは当然なのだが、日本がこの先財政破綻して、とんでもない社会状況になってもこれを読んでいれば大丈夫。一家に一冊の必読書。